第37回:移動する光源がどう見えるか【v=c】


さて、前回まではv=0.5c で図解して来ましたが・・・

アインシュタインの相対性理論では、
速度の上限光速度?なので、
今回は、v=c で図解してみます。

光源の速度 (光速)
グラフの升目 15万km光の速度で0.5秒
光源から放射された光の位置
赤● 観測者の位置
”→”付の
青○
観測者に届いた時の光源の位置
(観測者に見える光源の位置と方向
青矢印 観測者に届く光の方向
点線矢印 実際の光源の方向
以下、図左下のカウンタ
下段の黒 光源から放射された光が観測者に届いた時刻
上段の青 観測者に届いた光が光源から放射された時刻
即ち、観測者に見えている光源の時刻
上段の赤 観測者に光が届いた時刻と、見えている光源の時刻の差
即ち、光源から観測者までの光の移動時間
下段の青 光源から1秒ごとに放射された光が、観測者に届く間隔
即ち、観測者に見えている光源の時刻の進み遅れ

[00:00:00.00]

時刻 00:00:00.00 の光源と観測者の位置です。↓
観測者は、光源の進行方向へ 7.5c の距離で、
光源のコース(直線)から 3c 離れています。
従って、光源から観測者までの距離は、
√((7.5)2+32)≒8 です。

この位置関係には、特に理由はありません。
ただ、光源の移動範囲を図にし易かっただけです。(^○^;)



[00:00:01.00]

v=c の場合、光源からの光は後方へは伝わらず、
前方にのみ、移動後の光源の位置を中心に広がります。↓



[00:00:02.00]

光源からの光を、1秒ごとに見ると、
移動後の光源を中心にした同心円になります。↓



[00:00:03.00]



[00:00:04.00]



[00:00:04.35]

開始から4.35秒後に、
開始時点(00:00:00.00)に光源から放射された光が観測者に届きます。
8c の距離に 4.35秒で届いたので、
観測者に対する光の相対速度は、約 1.84c(光の速度の1.84倍≒55万km/s)になります。

この光は、光源の現在の位置から観測者の方向に放射された方向の光なので、
下図の、下側の”→”付の円の様に、やや上向き方向に見えます。↓

見た目の距離は、観測者が接する光の球面と、
その中心(実際の光源の位置)との距離ですから、
下図の、下側の”→”付の円の位置に見え、
実際の光の経路(進んだ距離)よりも短い距離にある様に見えます。



[00:00:04.95]

その 0.6秒後に、1秒後の光が届きます。↓
つまり、光源の時間経過が(1÷0.6=) 1.67倍速く見える訳です。



[00:00:05.55]

更に、0.6秒後に、その1秒後の光が届きます。↓



[00:00:06.25]

更に、0.7秒後に、1秒後の光が届くので、
光源の時間の経過は(1÷0.7=)1.43倍と、少し遅くなります。



[00:00:07.05]

更に、0.8秒後に、次の1秒後の光が届くので、
光源の時間の経過は(1÷0.8=)1.25倍と遅くなります。



[00:00:07.50]

ここで、光源からの光の間隔を「0.5秒」毎に細かく見て行きます。
0.45秒後に、0.5秒後の光が届くので、
光源の時間の経過は(0.5÷0.45=)1.11倍と、更に遅くなります。



[00:00:08.05]

00:00:07.05 から1秒後に、1秒後の光が届くので、
光源の時間の経過は1倍と、実際の時間尾経過と同じになります。
即ち、光源が観測者の真横を通過する時、時間の進みが同じになります。
逆言えば、見かけの時間の経過が同じになった時、
光源が真横を通過した」と判断できる訳です。
また、光源が真横を通過した後は、
光源の後方から眺めた光を見る事になります。



[00:00:08.70]

00:00:07.50 から1.2秒後に、1秒後の光が届くので、
光源の時間の経過は(1÷1.2=)0.83倍と、実際の時間より遅くなります。
この辺りで、 実際の光の経路(進んだ距離)と、実際の光源との距離がほぼ同じに見えます。



[00:00:09.70]

00:00:08.05 から1.65秒後に、1秒後の光が届くので、
光源の時間の経過は(1÷1.65=)0.6倍と、更に遅くなります。
また、 実際の光の経路(進んだ距離)よりも遠い距離にある様に見えます。



[00:00:11.45]

00:00:08.70 から2.75秒後に、1秒後の光が届くので、
光源の時間の経過は(1÷2.75=)0.36倍と、ほぼ3分の1ほどに遅くなります。



この後、光源が真横を通過する(00:00:07.50)までは、
光源から放射された光が観測したに届きますが、
その後に放射された光は、観測者に永遠に届きません・・・

この時、
観測者が、光源の進行コース上にいる場合は、
第32回:移動する光源からの光【マイナス編】
で書いたように、観測者を通過するとともに消えてしまう訳ですが・・・

観測者が光源の進行コースから外れている場合は、
光源の真後ろから僅かに外れた方向に向かう光が、
非常に遅い速度で観測者に届くので、
消えずに遠ざかって行くように見えます。

但し、見かけの時間はどんどん遅くなって、
通過した時刻(00:00:07.50)に永遠に到達しません。(^○^;)

また、光の速度が遅くなるため、
赤方偏移が大きくなり、
可視光の範囲外の赤外線になり、
その強度も、著しく小さくなっていきます。

さて、これらの「見た目の位置と方向」を、
時系列で合成すると、こうなります。↓

灰色の矢印 実際の進行方向
青の矢印 見た目の進行方向



この軌跡を見ると、
どうやら、2次関数(双曲線)の様ですね。

光源の進入方向(図の左側)は、
無限遠で、観測者から見て、左方向に水平(図の左向き緑色矢印)になるハズです。

一方、光源が遠ざかる方向(図の上方向)は、
観測者から見て、光源の進路に対して垂直(図の上向き緑色矢印)方向になります。

そしてこれは、
光源が観測者に衝突しない限り、
どんなに近くをかすめても
この様に見えるハズです。

・・・という事は・・・?

【続く】