第47回:「ビッグバン」
前回、赤方偏移から計算された距離が、
138億年前の初めの位置がゼロなのでアテにならないと書きました。
138億年前の地球との距離がゼロという事は、
宇宙全体の大きさもほぼゼロという事です。
そもそも、地球から宇宙を観測できるというのは、
他の発光源からの光(電磁波)が、現在の地球の位置に届くという事なので、
発光源の方向から地球に伝わるという事です。
現在の宇宙のサイズは数百億光年なので、
138億光年前の宇宙のサイズが「ほぼゼロ」であれば、
現在の地球の位置は、その宇宙の外側にあります。
サイズがほぼゼロの宇宙から外側に向かって放射した電磁波が現在の地球の位置に届いた場合、
それは一方向からしか届かないはずです。
しかし、宇宙マイクロ波背景放射が、
地球から見て全天球でいずれの方向からも観測されるという事は、
138億年前の放射当時、放射源は既に当時の地球の位置(その時点で地球が素材していたかは別)を包囲していたという事です。
ここで、「ビッグバン理論」を見ると、
宇宙の始まりは、素粒子はおろか、重力・電磁気力などの四つの力(相互作用)すらも分離しておらず、
ただただ高温高圧の「エネルギー」として始まります。
そして、インフレーションにより一気に宇宙スケールに膨張・冷却し、
エネルギーはクォークやグルーオンとなり、
更に陽子や中間子などのバリオンとなり、
四つの力と素粒子が生まれ、
30万年後には原子核ができ、水素原子ができ、
40万年後には、放射と物質との相互作用の確率が下がって空間を進めるようになって、
現在、宇宙マイクロ波背景放射として観測されています。
やがて、重力が支配的となり、物質は集まり恒星となり、銀河となって、
観測される最も古い銀河は134億年前の光となります。
良く紹介されるビッグバンの模式図が、
宇宙のサイズの変化(膨張)をどれほど忠実に再現しているのかは分かりませんが、
少なくとも、宇宙マイクロ波背景放射が全方位から届く事から、
この時代の宇宙のサイズと、
観測されている最も古い銀河の時代のサイズは、
それ程極端に違うとは思えません。
また、ハッブル数の計算値から134億年前の宇宙から10倍以上膨張したとか、
光の速度の2倍以上の速度で地球から離れている(膨張している)とは考えづらいですし、
そもそも、光より速く遠ざかっているなら地球から見えないでしょう。(^○^;)
次回は、膨張する宇宙の中で、
地球に全方位から届く光(電磁波)をモデル化して、
図解してみようと思います。
【続く】