第50回:「膨張宇宙モデル(天体版)」


さて、膨張宇宙モデルの天体版ですが・・・

先ず、地球や太陽の誕生は46億年前で、
宇宙が誕生して138億年なので、
地球が存在しているのは、その3分の1ほどです。

従って、モデルでの「地球の位置」は、地球が存在していたかどうかに関わらず、
宇宙の中の「位置」として扱います。
※.その位置が宇宙の膨張と共に移動して、そこに地球が誕生する座標としての位置です。

天体の単純な宇宙膨張モデルの図解に失敗した理由ですが・・・(^_^;)

現在、最も古い天体は134億年前の光が届いていますが、
宇宙が誕生して138億年なので、この銀河が生まれて4億年以内のハズです。

であれば、今から5億年前は、この銀河は地球から見えなかったのか?
それとも、5億年前は129億年前の光が届いていたのか?

考えられる可能性の一つは、
今から4億年前には銀河の誕生の頃の光が見えていて、
それ以前には、この銀河からの光が届いていなかった。

この場合は、この天体との距離が134億年前から134億光年離れていて、
宇宙の膨張速度が、光の速度と比べて充分に遅い場合ですが、
宇宙の歴史138億年の中で、
たまたま、ここ最近?の数億年で見え始めたというのは違和感があります。(^○^;)

但し、宇宙誕生直後(数億年)に誕生した銀河の光が、
138億年後の今現在の数億年しか見えないのか?
と言えば、そうではなく、
100億年前には、宇宙が始まってすぐに誕生した銀河の光が、
34億年かけて地球に届いていたという可能性はあります。

もう一つは、
134億年前は見えていなかったが、
その当時の、この銀河との距離を光が伝わった時間後に、
この銀河の誕生の姿が見え始めて、
それ以降、4億年分の時間の経過が引き延ばされて(スローモーションで)地球に伝わった。

第34回:「移動する光源からの光【観測者編】」
http://vuvu-world.com/myhome/science_34.htm

この場合は、光が到達する時間が非常に長く引き延ばされた場合なので、
宇宙の膨張速度が光の速度に非常に近い事になります。

ちなみに、
ハッブル数から計算した膨張速度(地球との相対速度)は、
宇宙マイクロ波背景放射で光速度の約95%、
134億光年で、ほぼ光速度の90%となります。

地球と天体の相対速度が光速度の90%であれば、
地球との距離は134億年間で120.6億光年(90%)離れるので、
当初の距離は10%(13.4億光年)になり、
天体から地球への光の速度は光速度の10%となります。

この時の地球と銀河の動きと光の伝わり方を図解(アニメーション化)しました。

Aが地球で、銀河は方向を特定しないため、5方向のB〜Fを仮定しました。



134億年前の初期の時点の相対位置は、
相対速度が光速度の90%なので、
地球(A)から13.4億光年の距離になります。


134億年後の現在は、銀河と地球との距離が134億光年です。

銀河から見た光の経路は青矢印で、光速度で地球へ直進します。
地球からの見かけの光の経路も、銀河から直進して地球へ届いたように見えます。
しかし、実際の経路は銀河の速度が合成されたオレンジの矢印で、
膨張方向と伝搬方向によって速度が異なります。

但しこれは、図の座標の原点をどこに設定するかによります。
この模式図では、Bの位置を宇宙の中心と仮定して原点としているので、
Bの銀河の速度がゼロで、光の実経路の光速度も100%です。



この模式図の134億年を、2分の1の67億年にすると、
初期位置は6.7億年になり、
初期位置の6.7億年から13.4億年へ6.7億年が経過するのに対して、
光の地球への到着は67億年から134億年へ67億年になります。

つまり、初期時期と到着時点での時間が10倍に伸びる(スローモーションになる)事が解ります。

また、初期時点から現在までの膨張距離は地球と銀河との相対速度(膨張速度)に比例するので、
光速度の50%であれば、初期位置も2分の1(50%)となり、
相対速度が10%であれば初期位置は90%となります。

一方、相対速度が光速度以上の場合は永遠に光が届かないので、
地球から観測することができません。

つまり、地球から観測可能な距離が138億年という事であり、
宇宙のサイズが138億光年という事ではありません。

【続く】