- 1月のとある寒い日
- 九死に一生シリーズ(笑)第1弾?
それは、今年(2001年)の1月の事である。
その朝は気温が氷点下に下がったとても寒い日でした。
路面も凍結しており、車で走行するのも怖い状態でした。
とある場所で早朝に待ち合わせをしていて、待ち合わせ場所に早めに着いた私は車の中で待っていました。
すると、見知らぬおばちゃんがやってきて「寒いから中で待ってなさい」と優しく声をかけてくれました。
”おばちゃん”と呼ぶのは失礼かも知れませんが、まさにそんな親しみを感じるかたでした。
「いえ、すぐに待ち合わせ相手が来ると思いますので…」と返事をした。
ふと、待ち合わせの場所が間違っていないかと不安になり、さっきのおばちゃんに聞こうと思った・・・
そこからの記憶がふっと消えた…
何だか夢を見ていたような気がするが、ふと気づくと、待ち合わせ相手の顔が目の前にあった。
彼は慌てた様子で「おい!大丈夫か?」と聞いてきた。
「な、…何があったんですか?」
脇を見ると、さっきのおばちゃんも泣きそうな顔でこっちを見ている。
私の右手には濡れたタオルが握られていて、右の顔面を押さえていた。
タオルは血で染まっていた。
話によると、車の後方で倒れている私を、おばちゃんが見つけてくれたそうだ。
顔に怪我をしているのを見て、すぐに濡れタオルを持ってきてくれたそうだ。
どうやら、車から降りた私は、氷で滑って転んで頭を打って気を失ったらしい。
氷点下の真冬に、気を失ったまま倒れたままであったら命にかかわったことだろう。
すぐに見つけて介抱して下さったおばちゃんは、まさに命の恩人である。
おばちゃんは、何度も「すぐに病院へ行きなさいよ!」と心配してくれた。
後で聞いた話だが、おばちゃんの知人が、やはり頭を打って、本人は「大丈夫だ」と言っていたのに、翌日亡くなったそうだ。
病院で頭部CTとレントゲン検査を受けたところ、異常なしだった。
まさに不幸中の幸いというやつだ。
検査の後に、お礼を持っておばちゃんに報告に行った。
異常なしの報告をしたら、おばちゃんはとても喜んでくれた。
世の中には、こんなに親切で優しいひとがいる。
自分の不注意で起きた不祥事ではあるが、忘れられない体験になった。