第8回:光:その普通な物質(慣性と万有引力編)


 相対性理論の文献で必ずと言っていいほど登場するのが「マイケルソンとモーリーの実験」ですね。
 回転して向きを変えられるテーブルの上で2方向に別れてから戻ってくる光の速度差を観測する装置です。
 これは、当時提唱されていた、光を伝搬し空間を満たしている「エーテル」の存在を否定した実験です。

 私は・・・この実験こそ「光も慣性と重力の影響を受ける」という事を証明した実験だと思っています。

 私たちが暮らしている、この地球は・・・
 赤道上なら音速より速い時速1700km秒速460m)で自転して、時速10万km以上秒速約30km)で太陽の周りを公転しています。
 更に、太陽系と共に銀河系の円周方向に秒速220km時速約80万km)で公転しています。
 しかも、慣性による直線運動ではなく、万有引力による(楕)円運動の組み合わせですから、
 全てを合わせた軌跡は非常に複雑な曲線を描いている筈です。

 しかし、地上で、どちらの方向に光を発射しても、光は直進して一定の速度で進みます。

 これこそ、他の全ての物質と同等に「光も慣性と重力の影響を受けている」という事に他なりませんよね。

 ま、複雑な運動をしている地上とは無関係光は直進するんだ・・・という考え方もあります。
 で、複雑な運動をしている我々から光が直進して見えるのは、周囲の空間や時間が歪んでいる・・・んだそうです。(^○^;)
 太陽の近くで、太陽の背後の星からの光が曲がる「重力レンズ」現象を、
 「空間が曲がっている」と説明しちゃう訳ですから・・・(^_^;)

 ま、宇宙空間で空間と時間の物差しを採用した時点で、そう考えざるを得ない訳ですけどね。

 でも、光の直進も、重力レンズも「光が慣性と万有引力の影響を受けている」…と考える方が自然でシンプルじゃないですか?(笑)

 で、そんな事より?(爆)
 私が興味を持ったのは、慣性万有引力による「速度と加速度」です。

 相対性原理は、ガリレオの時代からあります。
 地動説の根拠として、地上でも、走っている船の上でも、石は(相対的に)真下に落下します。
 即ち、慣性系(等速直線運動している世界)では、その速度が0であろうと、いかなる速度であろうと、そこで起きる物理現象に差はありません
 つまり、自身の系の速度は体感も検出もできません

 しかし、自身の系の速度が変化したり、方向が変わったりした場合は、

 加速度を体感できて検出もできます

 一方、自由落下は・・・例えば、エレベータのワイヤーが切れて落下する様な場合、
 エレベータの中では無重力となって、重力も含めて何も力が加わらない状態になります。
 実際には、重力によって、どんどん加速しているにも関わらず、加速度を体感も検出もできません

 これは、直線運動だけでなく、地球を周回する宇宙ステーションなどでも同様です。

 更に、宇宙ステーションの場合は、地球の引力で自由落下していうるにも関わらず、
 周回している速度は一定で、加速していません!(^○^;)

 慣性系での加速や方向変化(加速度)は検出できるのに、万有引力による加速度は検出できない・・・

 何故でしょう?(^_^;)

 これは、慣性系での加速や方向変換は、
 例えば、自身が乗っている乗り物に対して力が加わって加速度が発生しても、
 そこに乗っている我々や計器自体は、慣性に従って速度や向きを維持しようとするからですね。

 地上に立って、地球の引力に逆らって地上に留まろうとするから重力加速度を体感したり検出できたりするのと同じですね。

 一方、万有引力は、乗り物も、我々も、計器も、全てのものに同じ加速度を生む力が加わるため、
 他のモノとの間に相互関係を変える力が発生しないからですね。

 つまり、万有引力のように、全てのモノに同じに加わる力によって運動している場合は、
 速度が変わろうが、方向が変わろうが(加速度)は、全く関係ない(ゼロ)って事です。

 だから、前の方で書いたように、
 地上の私たちは、地球が自転し、太陽の周りを公転し、銀河系の周りを回っているという、
 超ぉ〜複雑怪奇な軌跡を描いて飛行していても、
 その加速度を体感できないし、検出もできない
って事です。

 ちなみに、慣性系の速度変化による加速度と、万有引力による加速度は識別できません。
 つまり、実質的に慣性力万有引力は同じモノと言えますね。

【続く】