第12回:重力波と相対性理論


2017年、今年のノーベル物理学賞は、
重力波を捉えたアメリカのLIGOチームが受賞しました。
確かに、重力波の観測は天文学に革命をもたらす技術と言えるでしょう。

しかし、この「重力波の検出」が、...
アインシュタインが予言した「空間の歪み」であり、
それにより相対性理論の正しさが証明されたかの様な報道はいかがなものでしょう?


重力により空間が歪むというのは、
言い換えれば、光が重力の影響を受けているだけです。
光が重力の影響を受けるというのは、
重力レンズでも観測されますが、
これは「空間の歪み」と評されますので、
別の理屈として、
「地球上で光が直進」する事でも明らかです。

というのは、
地球は赤道上で音速より速い時速1700km(秒速460m)で自転して、
時速10万km以上(秒速約30km)で太陽の周りを公転しています。
更に、太陽系と共に銀河系の円周方向に秒速220km(時速約80万km)で公転しています。

つまり、非常に複雑な軌跡を描いている筈ですが、
この軌跡のGを検出できないのは、
地球全体が重力=「慣性」により運動しているからです。
そして、地上(慣性系)で光も直進するのは、
とりもなおさず、光も慣性系=重力の影響を受けているからです。

重力波は、重力が変化した場合に、
その強弱が波として伝わってくる現象ですが、
重力は距離の二乗に反比例するため、
余程大きな重力でないと計測できません。

LIGOは大規模で超精密な設備ですが、
その原理は単純です。
L字に配置した通路の両端にミラーを配置して、
そこを往復する光の時間差を検出するものです。
(実際は、いくつかのミラーで反射を繰り返しますが)



仮に、重力波がL型の一方の通路に沿って伝わって来たとして、
その通路は重力波が通路に沿って伝わり、
もう一方の通路は、同じ位相が通過するので、
片方の通路の影響が大きくなり、
それを検知する訳です。

検出された重力波は、波長周期が20mS(周波数:50Hz)程度で、
光が4kmの通路を往復する時間は27nS(100万分の27秒)なので、
設備を光が往復する時間に比べて非常にゆっくりです。

つまり、重力波が通路の両端を通過する間に、
光は何度となく往復する訳です。

重力波により、装置全体、内部のミラーも含めて、
通路の一方の端から、もう一方へ伝わるので、
重力の影響で通路の長さが変化します。


上の解釈は間違っているので、
下記の太字部分に訂正します。


重力波により通路の長さが変化する理由は2つ考えられます。
一つは、周期20mSは、重力波の速度が光速(30万km/S)の場合、
波長が6000mなので、通路の先端と根元の間で重力に差が産まれる事。

ちなみに、光の波長は青緑付近で500nm(1万分の5mm)なので、
装置の往復どころか、1mm進む間に 2,000回も振動しています。

もう一つは、重力は距離の二乗に反比例するので、
通路の先端と根元で重力に差が発生する事。
そして、重力波=重力の変化により、その差も変化する事。


一方、光は重力の変化(周期)よりも遥かに速い速度で往復するので、
重力が殆ど変化しないうちに往復します。

そして、
重力方向に進む時は、重力の影響で速度が速くなり、
反対方向へは、重力の影響で遅くなります。
(前述したように光も重力の影響を受ける)

つまり、往復の平均速度は、
重力の影響を受けていない時と同じです。

これによって、通路の長さの変化を光で計測出来る訳です。
この事でも、光が重力の影響を受けている事が明白です。

※.アインシュタインの一般相対性理論では、
  重力レンズは「重力によって歪んだ空間に沿って、光が直進する」としているので、
  重力波で空間が縮まれば、光もそれに従って影響を受けて進む距離が縮まり、
  通路(空間)を往復する時間は変化しない筈です!

さて、
そんな事よりも、私が『大発見』だと思うのは・・・

7mS後に3000km離れた場所で同じ波形を観測した事で、
重力波の速度が判ります。
地球上で3,000kmの距離は、直線で2,886kmとなるので、
秒速40万kmを超えます!

重力波が伝わった方向が、
2つのLIGOを繋いだ直線の延長線上とは限りませんが、
一致しない場合は更に速い事になります。

つまり、
『重力波の速度は光よりも遥かに速い!』という事です!

・・・と、お気づきの方もおられると思いますが、
この説明には「嘘」があります。(^○^;)

2地点のLIGO間を伝わったのは、
重力波ではなく「位相」です。

発生源からの距離が同じ場合は、
位相は同時に到達します。

つまり、
この場合の時間差は、
重力波の速度(光速と言われている)が解っていれば、
発生源の角度が解るだけです。

なので、
残念ですが、
この事から、光速度が一定ではない(相対的である)という証明にはならないのですが・・・
(私は光速度も相対的だと信じています)

しかし、ここで、俄然興味が湧いてくるのは、
その後に観測された「中性子星合体の重力波の観測」です。

この現象は、ガンマ線や可視光でも観測されたので、
正確な方向が解っています。

つまり、
この時の、2つのLIGOの観測時間差から、
重力波の速度が正確に解るハズです!

しかし、この時の重力波の速度に関しては何も報道されていません。

ただ、中性子星の合体では、
波長の短いガンマ線→X線→紫外線→可視光→赤外線→電波と、
段々波長が長い電磁波が放出されますが、

ガンマ線バーストからX線や電波が地球に届く時間が、
理論値よりも遅かったそうなので、
この事からも、何か解ってくるかも知れません。