第42回:量子力学
理論物理学は、この世界を「どう解釈するか?」の学問で、
大きく分けて2つの側面を持っていると思います。
一つは、その理論(解釈方法)が納得できるものであるか?
もう一つは、その理論で何ができる(解る)か?
しかし、
アインシュタインの「一般相対性理論」以来、
私が最も重要だと思っている、一つ目の側面「納得できる」が無視され、
その理論で〇〇が可能になったから、その理論は正しい・・・
という方向に突き進んできたように思います。
しかし、
様々な科学者の、その専門分野にいる人を除いて、
一般人にとって、一つ目の「納得できる」という事が最重要だと私は思っています。
なぜなら、理論物理学は「この世界をどう解釈するか?」の学問だと思うからです。
なので、「おいらの『りろんぶつり学』講座」を掲載してきたのですが、
齊藤英治教授の「スピントロニクス」公演の動画を見て、
量子物理学を基礎としている分野の高名な科学者でも、
量子力学は「説明できない、不思議だけど受け入れるしかない」と平気で説明?していることに驚きました。
https://www.youtube.com/watch?v=b4TjMZZbaQQ&feature=share&fbclid=IwAR07t9K71QvsdthmjtxK9drRF6oGJ0OugsrAmCfnkL5DHBW-hsIBFSXLyyM
齊藤氏が引用している量子力学の理論(定義)は、
1.(客観的実存在を否定)粒子の位置や速さは、観測した瞬間に確率的に決まる
2.「不確定性原理」電子は出来るだけ広がりたい
3.異なるスピンの粒子であれば、同じ位置に居ることができる
そこで、全くの素人である私なりの解釈で、
これらの定義を基に「量子力学とは?」を書いてみようと思います。
第14回:「おいらの「りろんぶつり学」って?」で掲載した内容の繰り返しになりますが・・・
良く見る原子モデルの図としては、こんなイメージだと思います。↓
で、電子には軌道があって・・・↓
しかし、これは、原子や電子の電磁作用を説明するのに都合がよい「理論モデル」です。
実際には、原子のこんな姿を見た人はいない訳で、
電子顕微鏡で見ても、こんな球体にしか見えません・・・↓
ちなみに、
オランダ国立原子分子物理学研究所(AMOLF)の研究チームが成功した、水素原子の内部構造の可視化では、
原子核と電子(雲?)が見えていますが・・・↓
この画像は「水素原子の電子波動関数を可視化したもの」だという事で、
量子顕微鏡という光イオン化を直接観測するテクノロジーで可視化したそうで、
「実際に観測した画像」と言えるかは私には判りません。(^○^;)
で、実際?には、
原子の大きさが約10-10mに対して、原子核の大きさは約10-15mなので、
大きさの差は105=10万倍もあります。
つまり、 原子の直径が1mだとすれば、
原子核の直径は、僅か0.01mm(10μm)で、ほぼ肉眼では見えませんす!(^_^;)
更に、電子の大きさは不明・・・というか、
質量が、原子核の陽子や中性子に対して10-3=1000分の1位なので、
同じ程度の密度だと仮定した場合、
電子の大きさ(直径)は、陽子や中性子の10分の1なので、
上の例(原子核が10μm)ならば、電子は0.001mm(1μm)以下です。
つまり、原子の中身?はスッカスカって事ですねぇ〜!(^○^;)
なので、
例えば、電子顕微鏡で原子に電子を照射する場合、
仮に、原子核や電子が『粒子』だと考えると、
原子に電子をぶつけようとしても、
スッカスカなので、粒子としての電子同士がぶつかる可能性なんてほぼほぼゼロな訳です!(^○^;)
なので、照射された電子は、原子の電子との相互作用、
同じマイナス電荷ですから、反発しあう事で照射された電子の軌道が変化して、
原子の姿(大きさ)が浮き彫りになる訳です。
つまり、
原子の世界では、物質(原子)そのものが固体であるか?ではなく、
「相互作用」によって、『存在』や『相互作用』が見えてくる訳です。
そう考えたとき、
原子は、固体(粒子)としての原子核の周りを、
粒子としての電子が公転しているのではなく、
中心に原子核というプラス電荷のエネルギーの塊があって、
その周囲に、電子というマイナス電荷のエネルギーが広がっていると考えることができると思います。
この発想で、量子力学の定義を解説してみると・・・(^_^;)
1.客観的実存在を否定
「電子の位置が確立でしか表せない雲のような状態」というよりも、
実際に、電子のエネルギーの塊が、ある領域にあって、
位置の「確率」ではなく、その「エネルギー強度」の分布で、
原子から電子が離脱した時のみ、1個の電子のエネルギーの整数倍の量でしか存在しない。
↑と考えればよいのでは?
2.不確定性原理
「電子はなるべく広がりたい」というのは、
言い換えれば、隣の原子との距離が大きくなるという事で、
すなわち、互いに反発しあうという事で、
これは単に、表面がマイナス電荷の原子同士が反発しあっているだけの事ではないでしょうか?
ところで、
そもそも「不確定性原理」とは、
電子などを観測した時に、「位置」と「速度」を同時に測定できないというものです。
「位置」の測定精度を上げると「速度」が曖昧になり、
「速度」の測定精度を上げると「位置」が曖昧になります。
これ自体は、
「観測」という行為自体が、
「対象に何かしらのエネルギーを与えて、その変化を見る」という事なので、
対象がエネルギーを受ける事で変化すれば、どうしようもない結果です。
3.異なるスピンの粒子は、その領域が重なる事ができる
これは、逆向きのスピンであれば、電子の雲の領域が重なる距離に近づくことができるという意味です。
これを単純に考えると、電子を共有した結合ですね。
で、重なる事ができる理由としては、
電子のエネルギーの回転方向が逆であれば、
2つの原子が接近したときに、エネルギー同士が衝突(反対方向に作用)せずに、
同じ方向で回転できるから。
↑と考えれば、直感的に納得できると思います。o(^0^)o
※.「スピン」は、波動関数で導かれる角運動量を持っているだけで、
実際に何かが回転している訳ではないというのが定説の様です。
【続く】