第46回:「膨張する宇宙」


科学を専門にしたサイトのニュースでさえ、
「134億光年の彼方に最遠の銀河を発見」
なんて見出しで書かれる事があります。

この「光年」って、時間なの?距離なの?

通常、天体までの距離や銀河の大きさに使われる「光年」は光が1年間に進む距離で、
134億年かかって光が届いたのだから、
地球との相対速度がどうであれ(つまり地球なんぞ無視して)、
その銀河から見て、134億光年先まで光が進んでいるハズで、
たまたま?(笑)そこに地球があって観測しているだけだから、
その銀河からの現在の距離は134億光年じゃないの?

と、思う訳ですが、
相対性理論では相対速度で時間が歪むのでそうはいかなくて、
「134億年かかって届いた光」(134億年前の姿)で、
この場合の光年は「距離」ではなく『時間』になります。

で、何でこんな事になるかというと・・・

「光速度不変」なんて幻想で、
光速度を時間と距離の単位(尺度、スケール)にしてしまい、
「時空」時間と空間(距離)を変数にしてしまったせいです。(^〇^;)

この宇宙の天体は、地球から遠いほど速い速度で遠ざかっている、
つまり、宇宙が膨張しているという観測結果から、
宇宙の膨張速度「ハッブル数」なるものを求めようと、
様々な方法で、観測され計算されてきています。

ハッブル数は2010年以降の10年間だけでも、
測定方法により 67〜74の値が様々発表されていて、結構バラツキがあります。

様々な方法で計測できるローカルな宇宙(数憶光年)の膨張速度は、
最新の発表値で74km/s/Mpc(Mpc:326万光年)ですが、
この値で計算すると、
宇宙背景放射(ほぼ宇宙の年齢)である138億光年の膨張速度は30.98万km/s
となって、光速度を超えます。

ちなみに、この値だと133億光年の天体で光速度(30万km/s)に達します。

一方、宇宙背景放射の観測から予測される値は、
NASAの人工衛星「WMAP」では、この値より5%小さく、
ヨーロッパ宇宙機関の人工衛星「プランク」では9%小さくなります。

プランクの観測結果では 67.4km/s/Mpc となり、
宇宙誕生から37万年後(138億光年前)で 28.53万km/sです。(光速の95%)

という事で、
宇宙背景放射から計算されたハッブル数なら矛盾しない(光速を超えない)かと言えば・・・

赤方偏移から「遠ざかる速度」が分かり、
「何年前の光か?」が分かる・・・???分かるのか?(^○^;)

で、更に、「何年前の光か?」から光が発光した「当時の距離」と、
光が届いた「現在の距離」が計算できます。

で、計算した一例がこちら。
・ハッブル数 H0=67.15km/s/Mpc
・密度パラメータ Ω0=0.317
・宇宙項 ΩΛ=0.683



この結果からすると、

138.2億光年かかって届いた光(宇宙の始まり)の光源は、
現在458億光年離れていて、当時の距離はゼロ

宇宙背景放射は赤方偏移=1089で、現在の距離は451億光年。

光が100億年かかって届く距離(赤方偏移:1.7)にあった銀河は、
発光当時は58億光年の距離あって、
光が届いた時点で158億光年離れている。

つまり、58億光年の距離を100億年かけて届いたのだから、
その速度は光速度の58%という事になりますが、
その間に、その銀河との距離(空間)が100億光年膨張している。
(光の速度で膨張)

2016年に発見された最も遠い銀河、
(赤方偏移=11.1:134億年前)との距離は、
発光当時は25億光年で、現在は325億光年。

つまり、25億光年伝わるのに134億年かかり(光速度の18.7%)、
134億年で300億光年遠ざかった。
(光速度の2.24倍)

とすると、光の速度って何だ?
宇宙の膨張速度は光より速いのに、何で見えるんだ?
という事になります。

良く見かける説明ですが、
地球から観測されるどの方向の天体も全て、
遠い天体ほど速い速度で遠ざかっている、
全ての天体(宇宙)が膨張しているので、
天体(物質)の運動による膨張ではなく、
(宇宙)空間が膨張している。

※.従って宇宙の膨張速度が光速度以上でも相対性理論に矛盾しない。

というもの。

全く幼稚な屁理屈ですね。(^_^;)

そもそも「空間」って、どういう概念でしょう?

宇宙に物質が存在しなければ、
空間も時間も、その概念自体が意味がありせん。

あくまでも、物質が存在するから、
その位置や大きさを表すために「空間」という概念が必要なのです。

天体(物質)と空間が共に膨張するなら、
それは『何に対して膨張している』と考えるのでしょう?

宇宙「空間」そのものが膨張すると考えるのであれば、
天体間の「距離」だけでなく、
地球も、人間も、長さの単位自体も膨張することになります。

もはや「膨張」という概念に意味がなくなり、膨張と呼べません。

こう書くと、
「宇宙空間の膨張は、銀河などの大きなスケールに対して作用する」
とか、訳の分からない言い訳をするんでしょうけどね。(^_^;)

で、この赤方偏移からの距離の計算グラフでは、
138億光年前の初めの位置がほぼゼロであり、
宇宙の始まりのインフレーションやビッグバンが考慮されていないようで、
あまりアテにならない様に思えます。

【続く】