第48回:「膨張する宇宙モデル」


「宇宙は全ての場所で一様に膨張している」というのは、
膨張速度が、宇宙の中心からの距離に比例するという事です。

つまり、相似的な位置関係を保ったまま拡大しているという事で、
丁度、画像を編集ソフトで拡大するイメージで、
図柄はそのままに、画素が大きく(画素間の距離が広く)なります。

この場合は、どの任意の2点を選んでも、
膨張前と膨張後で、その2点の間の距離の比は、
拡大前と拡大後の比と等しくなります。

このイメージで、宇宙が膨張した時の地球に届く光を図解しようとしたのですが・・・

発光源が特定の天体の場合、どうも上手くいきません。(^○^;)

・・・というのは、

観測されている最も古い(遠い)天体は、
現在見えているのが134億年かかって届いた光ですが、
たまたま現在が宇宙誕生から「138億年」なだけで、
現在だけ見えているとは考えられません。

つまり、この天体が出来てから現在まで、
この天体からの光は地球に届き続けていたハズです。

では、100億年前ならいつの光かと言えば、
34億年前の光だと考えると、
同時期に放射された同じ光が、百億年以上も、いつまでたっても地球に届き続ける?
と考えるのはあまりにも不自然です。

更に、134億年前なら?
ゼロ年前・・・つまり、距離ゼロから届いた事になります。

しかし、初期の宇宙のサイズが「ほぼゼロ」というのは、
私自身が否定しました。(^○^;)

という事で?
取り敢えずは、特定の天体からの光は置いておいて・・・(^_^;)
宇宙マイクロ波背景放射からやってみます。

背景放射は、特定の天体ではなく、
宇宙全体が一様な状態で、
素粒子が原子に成長?して、
放射が物質と相互作用せずに空間を伝わるようになった時代の名残です。

なので、宇宙の膨張と時間の経過によって、
地球に届く放射がどうなるのかをモデル化してみました。

あくまでも、一例のモデルであって、膨張速度などは適当です。(^_^;)

モデルは、
背景放射が発生した初期の半径を138億光年とし、
最外部が光速度で半径が2倍に膨張したものとします。

地球の初期の位置(当時、地球があったかどうかは別)は、
宇宙の中心から半径の2分の1だったとして、
宇宙の中心と地球、および地球に近い側の外縁部との距離はそれぞれ半径の2分の1(69億光年)で、
中心および外縁部との膨張時の相対速度は光速度の半分です。

地球と反対側の外縁部との距離は半径の1.5倍(207億光年)で、
膨張の相対速度は光速度の1.5倍です。



初期から現在までの半分の時間が経過した、69億年前の状況は、
当時の地球から69億光年の距離から放射された電磁波が届きます。

この放射源は、初期状態時には地球から46億光年の距離の位置から膨張した場所です。

つまり、46億光年の距離を69億年かかって届いたので、
この光と地球との相対速度は光速度の3分の2(66.7%)で、
その分、この光は波長が伸びて赤方偏移します。



現在は、地球から138億光年離れた地点からの放射が届いています。
この放射源から青矢印方向に放射された光が、
放射源の移動方向(青の点線矢印)と合成されて、
実際の光の経路(オレンジ色の矢印)になります。

※.以下のB〜Fの位置は、前の2つの図のB〜Fとは別の場所です。

D→D'とE→E’では、
やや後方に放射された光が、放射源の移動と合成されて、
ほぼ横方向に光が進みます。

しかし、地球からの見え方は、
元々地球方向へ放射した光(D→A)が、
元々の放射源方向から届きます。(D'→A’)

現在、地球に光が届いている場所B〜Fは、
初期位置が地球から69億光年離れており、
69億光年の距離を138億年かけて届いたので、
これらの光の地球との相対速度は光速度の2分の1(50%)で、
69億年前よりも赤方偏移が大きくなります。



今後(未来)は、更に遠くからの放射が届くことになり、
初期の宇宙の半径の年数までは放射が届きますが、
それ以降は、全天球からは届かなくなり、
宇宙の中心方向からのみの放射となり、
やがては消えていく事になります。

そうだとすれば、現在、観測できているのが非常にラッキーな時代だと考えるのか?
それとも、初期の宇宙のサイズが半径138億光年をはるかに超えるサイズなのか?

【続く】