第49回:「宇宙の構造」


膨張する宇宙から、134億年前の銀河の光が地球に届くモデルは一筋縄では行かないようなので・・・(^_^;)
ちょっと視点を変えて、宇宙の構造について調べてみました。

銀河自体の寿命は、
地球が含まれる天の川銀河内でも最古の天体は100億年以上前から存在している一方で、
ビッグバンから20億年ほどで寿命を迎えた銀河も発見されています。

いずれにせよ、天体は宇宙の歴史よりは短いので、
現在、地球から見える天体は、その天体が誕生してからの、
その光(電磁波)が地球に届くまでの時間が経過しています。

宇宙の膨張速度ですが、
ローカルな宇宙の観測による「ハッブル数」と、
宇宙マイクロ波背景放射による「ハッブル数」が数%異なる事から、
その説明として、有力なのは「宇宙の膨張は加速している」という説です。

しかし、その為には、宇宙の膨張を加速させる何かの未知のエネルギーが必要になります。

一方で、「ハッブルバブル」という説もあり、
地球の近く(と言っても数億光年という範囲)の膨張速度が速いという説。

1980年ごろから、宇宙の大規模構造(泡構造)として、
銀河団が連なって網のような構造(グレートウォール)が存在し、
その網の隙間は、銀河が全くない空白の構造(ボイド)からなっています。

そして、最も近いグレートウォールは2億光年先に壁のように存在します。



「ハッブルバブル」説では、地球・・・というか、
地球が含まれる「天の川銀河」(直径10万光年)の周辺の物質密度が、
その周り(直径2.5億光年)よりも50%低く、
グレートウォールの重力によって、
地球(天の川銀河周辺)の天体の膨張速度が速くなっているとしています。

ちなみに、地球から見える銀河団は同じ距離の平面上にある訳ではないので、
地球からは集団に見える銀河団でも、手前の銀河や後ろの銀河があります。

これら銀河の前後関係で、
銀河団の後ろにある銀河は、手前の銀河の重力の影響で赤方偏移が小さくなり、
逆に手前にある銀河は、後ろの銀河の影響で赤方偏移が大きくなることが知られています。

また、今年(2020年)の4月15日には、
宇宙の膨張速度は距離で一定ではなく、方向によって異なるという研究結果が発表されました。



そもそも、
膨張速度の計測は、ローカルな宇宙(地球から数億光年)の場合、
理論的に本来の明るさが分かっている天体の見かけ上の明るさが暗い分、
距離が離れているとして計算した距離と、
光のスペクトル(赤方偏移)を比較して、
赤方偏移と距離との関係を導き出したものです。

つまり、赤方偏移(相対速度)と距離は直接の関係ではなく、
あくまでも計算上の推測値です。

ちなみに、恒星から放出された光は、
全ての方向に球体状に広がるので、
放射した光の球体の半径(恒星から光の先端までの距離)の
二乗に比例して表面積が増えて拡散するため、
見た目の明るさは距離の二乗に反比例して暗くなります。

しかし、見かけ上の明るさが暗くなる原因は距離だけではありません。

その恒星が地球から離れる相対速度の分、
相対的に光の速度が遅くなるため、
エネルギー(明るさ)が低下します。

そう考えれば、恒星までの実際の距離はもっと短くなります。

【続く】